ペテルブルクの書店のこと。(2017年8月時点)

 これまでずっとFacebookにはってリンクをTwitterに貼るという、匿名性とはなにかを考えさせられる状況を放置してきてました。ので公開して情報がほしいものをこっちに移しておきます。

 どうも、留学中にブログを作っていたらしい。自己紹介らしきページで更新が止まっていて存在意義がなかったものだけれど。ブログタイトルとかも余裕あるときに少しずつ変えていきたい。

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【訂正について】
・6月5日
地図上の美術アカデミー(АХ)とメンシコフ宮殿Меншиков дворецが反対になっておりました。置き換えてご覧ください。また、美術アカデミーの中にも美術専門の小さな書店がありました。参考まで。
・2016年
свои книги の項目修正。2017年現在も聞いた限りでは同じ通にある模様。
・2017年8月31日
 科学アカデミー図書館を使ったときのことを追記。

 

○ヴァシリー島周辺の書店について
 役にたつかどうかはともかく、ひとまず知ってる限りの書店を地図上に落としたもの。 ペテルブルクに来て、ジュンク堂書店のような大規模な書店がなくて苦労したので、資料集めに利用した書店の一覧を作ってます。
 結論を言ってしまうと、一般向け書籍はたいていДом Книгиとチェーン書店のБуквоедで見つけられると思います。現段階で販売してるЖизнь Замечательных Людей(сок.ЖЗЛ、伝記的文献、新しいものだとその人物に関わる史料も収録してくれたりしなかったり)なんかはちゃんと網羅してくれてます。ただし、論文集であったり、すでに出版が終わっている書籍なんかはあまり見つけられません。
 これに対しては、⑴Ozonのようなネット通販を利用する、⑵ぐるぐる古書店や個人書店をまわる、の二択になります。自分がほしい本やDVDの題名・著者がわかっている場合はネット通販に頼るのが一番早いと思われます。だいたい誰に訊いても、書店になければOzonでみろと答えが返ってきます。同じく、Буквоедもネット通販を扱っており、書店内の検索用の端末を使用して注文できます。こちら側で通販する場合、たいていは直接配達ではなく、最寄りのスポットに送ってもらってそこにとりに行くかたちになります。(多分ロシア郵便に頼るより確実。)スポットпункт выдача は購入する際表示されるので、最寄りのスポットを選べば大丈夫です。
 通販のもう一つの強みは、注文を受けて印刷するタイプの書籍を購入できることです。このタイプは、専門的な資料に多い印象で、『第二カムチャッカ探検活動』と、ユーリー・クリジャーニチ(17世紀後半のカトリック司祭)の著書の再版ものを手に入れられました。このタイプはだいたい2週間くらいはかかります。
 残りの策は個人経営の書店・古書店や専門店をぐるぐる見て回ることになります。以下、地図の番号と合わせて、覚えてる限りで特徴を書いておきます。あと、全部書店でなく、どうでもいい情報が混ざっていることにはご容赦くださいませ。個人経営および小さい書店については、ほとんどクレジットカード使えません。あしからず。

①СПБГу歴史学部・哲学部・医学部に併設された書店
 基本的にアカデミックな文献。СПБГуの研究科から出されている論文集や、歴史系の各種雑誌等もおいています。歴史学分野だと、決して数は多くないものの、学術的な文献が多い。買ったものだと、スウェーデン人との関係に重点を置いたポルタヴァの会戦に関わるもの、18世紀第一四半世紀におけるスウェーデン人捕虜、ピョートルの大使節派遣、行政機関、などなど。文学、言語学、心理学、生物学等だいたいの分野の学術書を置いてくれてました。

②アカデミクニーギ
 科学アカデミーの書店です。たいていの書籍は出版社がアカデミーのものです。科学アカデミーから出てる新しい書籍はここで手に入れやすいです。科学アカデミー史とか、著名な人物の伝記とか、研究成果の諸専門書など。古文書の手引きなんかも、アカデミー所属の古文書館のものなら手に入るようです。

③СПБГу東洋学部のКнижный салон
 おそらく、ペテルブルク大で留学する場合、教科書はほとんどここで購入することになります。少しだけドーム・クニーギ等より語学テキストの値段が安い印象を受けます。ТРКИ対策の書籍もそろってます。
 また、大学の書店ということもあり、言語別のテキスト・辞典類がかなり、というよりドームクニーギ等より多く置いてあります。ドームクニーギよりは書店が狭いため、かなり探しやすいこともありますが。
 
④свои книги (追記あり)
 http://svoi-knigi.ru/
 Средний проспектを、大学側に、カデツキーリーニアを越えて少しいったアーケードの奥にある、おそらく個人経営の書店です。僕が来たときはジャーナリズム学部横だったのですが、気づいたら移転してました。

⇒今年、レピナ通りに移ってたようです。ペテルブルクにいったとき見つけ出せず、後輩が見つけてくれました。
 ホームページを見つけたので、こちらで確認していただけると幸いです。毎年場所変わると困りますし…。

 文学、歴史等もなにか独特な集め方で、やや文化・芸術よりの揃えかたです。英語等で書かれた外国語書籍もあったりします。ここで集めたものだと、エカチェリーナⅡ世の伝記と、彼女の治世期におけるフリーメーソン。あと設計図や写真がしっかり収録されたロシア建築史の本。絵本も結構あります。
 最初の印象では、建築関係の資料がすごく揃っている書店だったのですが、配置を二つに分けたからかその印象が少し弱くなりました。それでも建築は他より強い気がします。あと、ここはクレジットカード使えます。

⑤裏通りの古書店
 ヴァシリオストロスカヤ駅前の通りをネヴァ川に向かって歩いて中間あたりで左手のアーケードに入ったところにあります。ただ、やや周囲の雰囲気が怖かったことと、古書があったもののそれほど目立たなかったため記憶が……。

⑥同じくヴァシリオストロフスカヤ駅の通り。これは通に面してるのですぐみつかります。メインは大学等で使う教科書など。ジャーナリズム系も、ジャーナリズム史の教科書はここで手に入れました。文学、歴史学、言語学等の書籍多。
 記入し忘れてしまってるので追記。この店から少し南下して、教会の裏手あたりにも教科書販売の書店があります。記憶がすでに4年前になってしまうので現在では不確かですが、法学部用のテキストが売られていました。

⑦Ozonのスポット。おそらく、ペテルブルク大学留学だと、交換の場合は寮がプリモルスカヤになります。なのでここが最寄りのスポットになるかと。

⑧これもアカデミクニーギ。
 ただし古書店です。扱っている分野は、歴史学、文学、哲学、芸術等々。ここのおばちゃんに自分の探している書籍の分野を伝えておいたら、一緒に探してくださったり、入荷したときにとりおいてくださったりします。大学の授業で、豊川浩一先生がロシア語で書いた本を読んでまとめてこいという課題を投げられたときに頼りました。歴史学部の友達いわく、親切だし書籍の取扱いの良い店。
 ソヴィエト期に出版されている学術書を手に入れるために多用しました。いくら貢いだか定かではないですが、買った本の少なくとも三分の一はこのお店です。書籍史で有名なルッポフの三冊のうちピョートルⅠ世治世期とそれ以降の2冊手に入れられました。古い学術書ならここがいいです。

⑨Пышка
 もっとも不要で無関係な情報。庶民的ドーナツпышкаが13ルーブルくらいで食べられます。ほかのпышка屋と違って(?)、食堂のかたちになっているので昼食・夕食にも便利。シュニッツェルとグレーチカ、пышка2つとジュースで200ルーブルを切る、非常に安い店。プロフもおいしい。(ご本家をまったくしりません。あしからず)

⑩старая книга
 おそらく語学学校の帰りによく見るお店。店自体が大きいので、置いている数も多い。あと、そこそこ有名なラディーシェフなどの作品が10ルーブル台で叩き売られてたりしました。安いことは確かです。そのかわりとても一般向け。

 

○科学アカデミー図書館БАН(2017年八月現在)
 入館して向かって左奥の扉の方に閲覧カード登録の部屋がある。一時利用カードの場合、パスポートと同じサイズの顔写真2枚、8ルーブル、パスポート、身分を証明できる学生証等(北大の普通の学生証で行けたのか、それともотношениеがあったからいけたのかは不明。英語は受け取らないとか言ってたような…)を見せて、アンケートを記入して作ってもらう。入館して左手に書店がある(ロトマンの著作集とかもあったし歴史系もあった)正面階段の裏手あたりにスタローヴァヤとガルデロープがある。スタローヴァヤは図書館利用してなくても使えたり。
 4階・5階の蔵書カタログで文献請求を行い、3階のメインの閲覧室で読むことになる。今回(2017)はこちらを利用していないので、請求してから受け取るまでどれくらいかかるかは不明。閲覧室にはアカデミーの雑誌が開架状態で置いてあったので、これらは閲覧できるかも。3階のフロアはいろいろ展示をやってるのでそこを覗くのも楽しかったり。今回は1917年2月の目撃者、という感じで回想録の展示もあった。
 定期刊行物については、6階にある定期刊行物専門の閲覧室で注文、閲覧するかたちになっている。定期刊行物の請求票をそこで書いて出してもらう。今回だと、請求した文献が出るまで30分待ってといわれた。レーニン図書館等の基礎フォンドと比べると早く感じる。
 その他に、2階に手稿本部門、5階に稀覯本部門。両方とも大学等からの、名前、研究テーマ、時期区分等が書かれて判の押された紹介状が必要。手稿本部を利用していて、請求している史料を受け取るまでほとんどかからなかった。机が四台、席が8つしかなかったが人が多くないのか作業スペースは十分あった。
 レーニン図書館やシチェドリン図書館で最近文献の写真撮影が許可されるようになったものの、今回定期刊行物の撮影をした際はしっかり1枚30ルーブルを徴収された。手稿本部は今回諦めていたので確認していないけど、他の方も写経していたので有料だろうか。支払手続き自体は簡便で、閲覧室等の係の方に請求書を切ってもらって2階の入り口から左に入ったところのカッサで支払ってレシートを見せるだけ。
 いまいち電子カタログ等の使い方がわかっていなかったのでその点は今後の課題とします。

 余裕があれば、ネフスキーの方もまとめてはみます。⇒そんなことできてない、あとは託した。

 


 ところで、どこかで古いКрокодила Гена и Его друзьяを見かけられましたらご一報ください……。映画前のチェブラーシカの本がほしいのです⇒まだ求めてます。ほしいです。